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仮想通貨botter「よしそ氏」対談書き起こし

AIME

質問者: 失敗で何か印象的なものとかってありますか?

よしそ: 僕もいくつか大きな失敗をしてきたことが記憶に残っています。
一つ大きな失敗が、2020年に取り組んでいた新しいモデルの開発中に起きたもので、一撃で5000万円ぐらい吹き飛ばしてしまって、すごいショックを受けた時期がありました。
当時、本当にマーケットが全然動かなくて、僕も全然収益が思うように伸び悩んでいた時期だったんです。
その中で裁量トレーダーたちが結構大きな収益を上げているのが目につきました。
そこで、裁量トレーダー的なトレードをするようなモデルを作ってみようと思ってトライアルして、初めてのトレードで最大DD(ドローダウン)に近い損失を被りました。
その結果、5000万円ぐらいの損失を出したのが一番印象に残っています。

質問者: その5000万円の損失というのは、バックテストで確認して分かっていたのですか?

よしそ: はい、一応バックテストで確認していて、分かってはいたのですが、実際に損失が発生すると非常に悩ましい状態でした。
チャートをゴリゴリに見ちゃうし、それが2〜3週間続いたんですよ。
結局、損切りしたんですが、その後に1億円プラスに戻って最終的には利益5000万円で終われたはずだったのが、損切りしてしまったために非常に悔しい思いをしました。

質問者: それはモデル自体は良かったけど、手動で損切りしてしまったということですか?

よしそ: そうですね。モデルを信じ切れなかったゆえの失敗です。

質問者: なるほど。ドローダウンの幅が結構大きかったんですね。

よしそ: そうです。ドローダウン自体はそこまで大きくはない想定でしたが、ロットをかなり大きく張っていたので、持っていること自体が非常にストレスでした。
裁量トレーダーであれだけロットを張っている人たちは本当にすごいなと感じました。
そこで自分の感覚を信じてポジションを続けられるのはすごいと思いますが、一つのトレードで大きな損失が発生するのは個人的にはリスクが大きすぎると感じました。

質問者: その経験から、次の取引にどういう影響を与えましたか?

よしそ: 単体で大きなポジションは本当に持たないようにしようと思いました。
僕は今まで一回一回の取引の利益は小さいけど、数をこなすことで最終的に大きな利益を得るというスタイルでやってきました。
裁量トレーダー的な中長期で大きなポジションを持つトレードはあまりしてこなかったので、原点に立ち戻って、自分がやってきたことを信じようと思いました。
要するに、一回のトレードで大きな金額をリスクにさらすのは、自分のスタイルやリスク感覚には向いていないと再認識しました。

質問者: そのモデル自体は良かったけど、そのモデルはもう使わなくなったのですか?

よしそ: そうですね。運用するメンタルがなかったということです。

質問者: これ以外にも大きな失敗はありますか?

よしそ: それ以外の大きな失敗はあまりないですね。

質問者: 2021年は比較的うまくいって、2022年と2023年も順調だったのですか?

よしそ: そうですね。2022年は2ヶ月ぐらいマイナスになりましたが、2023年は月次では負けなしでした。
22年のマイナスの月はバックテスト上の一時的なモデルの不調期だったので、仕方がないと思っています。

質問者: それでは、ボッターの特徴についてお聞きしたいのですが、ボッターに向いている人と向いていない人はどういう人ですか?

よしそ: ボッターにもいろいろなタイプがいますが、ここでは機械学習や統計的なトレードをするタイプのボッターについて話します。

質問者: ボッターに向いている人、向いていない人ってどんな人ですか?

よしそ: 基本的にはコツコツとリサーチできる研究者みたいなタイプの人が向いているんじゃないかなと思います。
新しいボットのアイデアはたくさん出てくるけど、その8割9割は意味がない、改善に結びつかないものです。
試したことの8割9割がゴミ箱行きになるんで、そういう状況でもメンタルを保ちつつコツコツと続けられる人でないと楽しめないんじゃないかと思います。

質問者: 8割9割は単に失敗するだけじゃなくて、改善にも結びつかないんですね。

よしそ: 例えばウェブ上に転がっている取引戦略とか、論文みたいなものも実験や評価が不適切だったり、マーケットに織り込まれてしまってワークしなかったりします。
時を経て使えなくなっているものや、チャンピオンデータ的に当時だけうまくいっていたものも多いです。
金融系の論文からワークするアイデアを見つけるのは難しいですし、機械学習のアプローチも自分のモデルやデータとの適合性が求められるので、改善できる確率はそんなに高くないです。

質問者: 論文っていうのは無料でアクセスできるものなんですか?それとも有料のデータベースなんですか?

よしそ: 基本はアーカイブなどで無料でアクセスできるものからもアイデアは得られますし、有料のものもありますが、ヒット率はそんなに変わらないですね。

質問者: 10回試すのにどれぐらい時間がかかるんですか?例えば、1週間で10個ぐらい試せるとか、1個作るのに10時間かかるとか。

よしそ: それは本当に人ややることによります。
僕の場合、最近はモデル1個回すのに1、2週間かかることもあります。
GPUをフル回転して1、2週間かかるので、速度はそんなに高くないですね。
ライトなモデルを使っている人や個々のエッジを調査している人はもっと速い頻度で回せると思います。

質問者: コツコツリサーチできる研究者という話でしたが、他に向いている人にはどんな特徴がありますか?

よしそ: ボッターで強い人たちは、技術力が高い人が多いです。
たくさんの手数で無限にリサーチできる人や、何らかのベクトルで非常に強いエッジを持っている人が多いですね。

質問者: 逆に向いていない人はどんな人ですか?

よしそ: 真逆のタイプの人ですね。統計的なセンスや統計学の素養が少なからず必要です。

質問者: 裁量トレーダーでうまくいっている人とボッターでうまくいっている人の違いは何かありますか?

よしそ: ベクトルが全然違うことをしているので、比較は難しいです。
裁量トレーダーとしてはそんなに強くないので、違いを述べるのは難しいですね。

質問者: 突出してすごいボッターと普通にすごいボッターの違いは何ですか?

よしそ: 持っている技術力やバックグラウンドが非常に強いことが大きいです。
技術に対してのモチベーションが高い人や、ラーニングアニマルのように新しい知識をどんどん蓄えるのが好きな人が多いですね。

質問者: 本当に何やってても成功するんじゃないかって人もいますよね。

よしそ: そうですね。やっぱり、どんなことでも成功しそうな人が多いですね。

質問者: なるほど。ちなみに、よしそさんから見て、この人めっちゃすごいなっていう人はいますか?名前を出せる範囲で教えてください。

よしそ: そうですね。基本的にQASHさんはもちろんすごいと思います。僕と全然違うベクトルですが、非常に優れています。
技術力で言うと、ロスさんやサザンさん、彼らはDEX周りで非常に技術力が高くて強いです。
あとは、UKIさんもすごいですね。僕も元々UKIさんのブログ記事を見ていろいろ勉強させてもらったので、彼の知見には尊敬しています。

質問者: 技術力や知見が、普通のボッターと違うところなんですね。

よしそ: はい、特に動かしている手数が段違いに多いと思います。能力も違いますし、かけている時間も相当多いはずです。

質問者: ボットの初心者がよく犯すミスや誤解は何ですか?

よしそ: 一番大きい誤解は、バックテストで利益が出ているからフォワードやライブでも利益が出るだろうという考えですね。多くの人がオーバーフィットしたモデルや戦略を作りがちです。バックテストで良い結果が出るからといって実際に運用してみると、途端に右肩下がりになることが多いです。

質問者: 具体的にどう間違えているんですか?

よしそ: オーバーフィットしていることが多いですね。パラメータを最適化しすぎて、最適化に使ったデータにしか通用しないモデルになってしまいます。例えば、過去データに対して複雑な条件をたくさん組み合わせることで良い結果を出しても、それ以外の期間では全く機能しないことが多いです。また、取引手数料やスリッページを考慮していないこともあります。バックテストでは良い結果が出ても、実際の取引では手数料やスリッページで利益が消えることがあります。

質問者: バックテストでの学習の仕方を間違えるというのは、他のボッターのインタビューでもよく聞きますね。そうならないためのコツは何かありますか?

よしそ: 条件をシンプルにし、論理的に説明できる条件にすることが大切です。
また、ランダムピックで良い条件を探り当てるのではなく、論理的に説明できるパラメータだけを使うようにすることです。
自動的に条件を生成してランダムに選ぶアプローチは、背景が説明できない条件のモデルを生むことが多いので、そうならないように気をつけることが大切です。

質問者: ボッターの中には、上下の動きを予測する人とアービトラージをする人がいますが、よしそさんはアービトラージをやらないんですね。それはなぜですか?

よしそ: アービトラージは競争が非常に激しいからです。
節目節目で大きな値動きの時に発生するアービトラージは誰でも取れるくらい大きな差異があることがありますが、それは定常的な利益にはなりません。
本当にゴリゴリのアービトラージは誰が一番最初に取るかの勝負で、競争が激化すると利益がすぐに減少します。
トップ1やトップ2が利益の大半を持っていくので、定常的なエッジがなくなるのが非常に早いです。
なので、アービトラージは労働に近いところがあり、自動化が難しいのが理由でやっていません。

質問者: 価格のボラティリティが高い方が利益を出しやすいということですが、よしそさんのボットも同じですか?

よしそ: そうですね。基本的にはボラティリティが高い方が値動きの幅も大きく取れるので、利益も出やすくなります。
価格が動かないとトレードもできないので、ボラティリティは重要です。

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ABOUT ME
AIB
為替のシステムトレードしておりましたが、思ったよりもエッジが少ないため、仮想通貨botterに転職しました。
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